俺、25歳。
交通事故に遭い、物事を記憶する脳の大事な部分を損傷してしまった。
ある日の彼女の誕生日にプレゼントを用意して待っていると彼女が仕事から帰ってきた。
俺は彼女を驚かせようとして、唐突にプレゼントを差し出した。
彼女は驚いて一言。
「ありがとう!でも、今日は私の誕生日じゃないよ。」
俺は驚いて尻餅をついてしまった。
彼女の誕生日を忘れるなんて。
それでも彼女は優しくお礼を言ってくれた。
今度は間違えないぞ。俺は心に誓った。
次の彼女の誕生日にプレゼントを用意し、彼女に手渡した。
彼女は満面の笑みを浮かべて喜んでいた。
「これ、私が欲しかった物。よく覚えてたね!」
俺は一瞬喜んだが、間髪入れずに彼女が一言。
「でも、今日私の誕生日じゃないよ。」
俺は目の前が真っ白になった。
次の年もその次の年も俺は彼女の誕生日を間違えたが、いつもいつも喜んでくれた。
ある年、ようやく彼女の誕生日を間違えずに渡した。
彼女は泣きながら、「私の誕生日は今日だよ!」と言ってくれた。
俺も涙が出てきて2人で喜んだ。
俺の障害も良くなり、今は2人で静かに過ごしている。
ただ、あの年何で彼女が誕生日を間違えていた俺に今日が私の誕生日だと言ってくれたのか。
不思議である。
誕生日おめでとう!