ここ秋葉原。俺がここに来た理由はメイド喫茶だ。秋葉原には数多くのメイド喫茶があるが、今日俺が行くメイド喫茶は普通のメイド喫茶とは一線を画している。
なんとカラオケ屋とコラボレーションしたメイド喫茶なのだ。
店に入ると漫画に出てきそうなメイドの格好をした店員が現れた。
早速、この店はどういったサービスをしているかの説明が入った。
俺は説明を聞くと、直ぐにカラオケボックスに入った。
そこには3人のメイドさんが居た。
2時間コースにした為、時間はない。
早速歌い始めた。歌う曲は勿論、アニソンだ。
俺は言う。「ちょっとエコー利きすぎじゃない?」
メイドさんは言う。「そんなことないわよ!」
俺は何も言わずに歌い終える。
歌い終えると、メイドさんと会話を楽しみ始めた。
ここつい最近までは普通のメイド喫茶だったんだけど。店長が元カラオケ屋の店長だったこともあって。
2時間3000円プラス1ドリンクなので、俺は歌というよりもメイドさんとの会話を楽しみたかった。
メイドさんたちは漫画に精通しているようで、会話の至るところにどこかで聞いたような台詞が飛びかった。
今度は私が歌うね。メイドの愛ちゃんが歌う。
歌は上手いのだが、エコーが気になってなかなか歌に集中出来ない。
俺はまた言う。「エコーが強すぎない?」
愛ちゃんが言う。「ごめんなさい。」
ここのお店エコーの調整が出来ないの。マイクとか音楽の音量、その他の調整は出来るんだけど。
そう言えば、ここのお店変わってるよね。ううん、カラオケとコラボしてるとかじゃなくて。
お店に入って時の注意にさ。必ず歌ってくださいって言われたんだよね。1曲は必ず。
あっ、それは。なんだかメイドさんは距離を取って言う。
ここのカラオケ7不思議があってさ。歌わないお客さんの方が多かったんだ。
その時、歌わなかったお客さんが相次いで帰り道に事故にあったんだ。漫画みたいな話でしょ?
後、エコーの調整をするとお化けが出るって噂があって。だから、店長が不気味に思ってエコーの調整を出来ないようにしたんだよね。
俺は怖いというよりも面白そうと感じていた。お化けなんて漫画の世界じゃん。出るものなら出て貰いたいよ!
どうすればエコーの調整が出来るの!?
それは...メイドさんは鍵を持っていた。
これをそこの穴に嵌めて回せば出来るよ。本当にするのね?
うん、面白そうだし!
俺は鍵を穴に嵌めて回した。
エコーの音を下げて早速歌った。
やっぱエコーの音がないと歌いやすいよ。すると、俺が歌っている時にノイズが混じってきた。
俺が歌っている時にメイドさんが話しているのかと思ったが、誰の口も動いていない。
歌い終えるとメイドさんが泣いていた。
ありがとう
その意味が分からなかった。
メイドさんは続ける。ここ昔は墓地だったの。エコーってお経に似てない?お坊さんの声が反響しているっていうか。
だからさ。
俺は言っている意味が分からなかった。
店長は元カラオケの店長って言ったでしょ。その前はお坊さんだったの。
だから、お経に似たエコーを強くしてお経みたいに聞こえるようにして。私たちを慰めていたの。
それじゃあ、なんでエコーを切ったら。ありがとうって言ったの?
俺は頭がパニックになって、この状況が理解出来ないまま話を聞いた。
この鍵私たちがいくらやっても回せなかったの。
店長の話だと霊界と現世を結ぶ鍵みたい。
でも、こうやってあなたが回してくれた。
その7不思議のエコーの調整をするとの続きなんだけど。
お化けが出て来て、そのお化けが霊界へと導かれるとね。回した人が今度はメイド側になるんだって。
あなたが回したのは自分の命のダイアルなんだよ。切ったでしょ。
だから、私たちはありがとうって言ったの。
自分の命よりも私たちが成仏出来るようにしてくれたから。
俺は混乱し、だって俺男だし。メイド喫茶なんて出来ないよ。
大丈夫。女の子なんていっぱい居るし。
あなたが店長になればいいのよ。
あなた覚えてないの?
私たちの店長は元々あなたのよ。
そうすると、電話が鳴った。
残り時間10分前です。そろそろ仕事に戻ってください。
店長...
そうだ、思い出した。俺ははここの店長だった。そうやってこの店を経営していたんだ。
この子たちを自由にする為に。
また遊びにおいで。従業員に言った。
ありがとうございました。お疲れ様。
俺はいつまでこの店を経営していかなければいけないのか不安に思った。
何時間のご利用ですか?2時間で。
はい。当店の説明が御座います。