警備、学校、幽霊

俺は警備員。

 

今日も学校警備業務に従事する。

 

主な警備業務は学校の治安維持である。

 

具体的には窓やドアの施錠確認である。

 

もしも、見落とすと生徒や先生に被害が及ぶことがある。大切な業務である。

 

いつも通り俺は時計回りに学校を周回する。

 

学校警備は夜に警備する為に、恐怖とは隣合わせだ。

 

一校目、問題なし。二校目、問題なし。三校目、んっ?

 

窓は閉まっていたが、鍵が施錠されていない。

 

俺は車に戻り、昇降口より学校に入る。

 

右手に懐中電灯。左手に鍵を携えて。

 

ここで大事なのは、外からの配置と中からの配置を一致することである。

 

上空から配置を把握することが大事である。

 

俺は滅多に学校の蛍光灯のスイッチを押さない。

 

懐中電灯のライトだけが便りである。

 

ここだけの話。学校は必ずと言っていい程、幽霊がいる。

 

深々と静まり返ってる空間からパチンッと鳴るクラッチ音。

 

暗ヵな静止からの不気味な圧。絶対何かに見られていると感じる。

 

俺は慣れた手つきで施錠されていなかった窓を施錠する。

 

ホッとするのも束の間。

 

後ろから何かに追われている。おそらく、11才の少女。

 

全力で走って逃げても良いのだが、おそらく彼女にの方が足が速い。

 

気づいていない振りをするが、後ろが気になってどうしても見てしまう。

 

施錠してた昇降口のドアの鍵を開ける手が震える。

 

なんとか追い付かれる前に学校を出る。

 

その日は、これだけで終わると思っていたが。

 

最後の一校が、窓が開いていた。

 

俺は窓を閉め、施錠をしに学校に入った。

 

学校はざわついていた。

 

女子高生が話している声がした。

 

時間は深夜2時30分。聞こえる訳はない。

 

俺は恐る恐る、その声に近づく。

 

声が聞こえる方に歩いていくと、次第に声は消えていった。

 

俺は窓を施錠し、颯爽と今日の業務を終える。

 

こんなこと言える立場ではないが、これが学校警備の日常茶飯事だ。

 

今日も学校の治安を守る為に業務を執行する。