寿命残り1日

「明日、地球に巨大隕石が落下します。この影響で明日、地球は粉々に分解されるでしょう。」

 

俺の背筋は凍った。

 

マジかよ。明日、俺死ぬ?

 

死ぬまでにしたいことなんて腐る程ある。

 

このニュースが流れてから地球中がパニックになり、犯罪が溢れている。

 

俺には結婚を約束している彼女がいる。

 

とにかく彼女のことが心配だ。

 

彼女に電話しないと。

 

「もしもし、大丈夫!?何にもない??」

 

彼女は泣きじゃくっていた。

 

「何かあった??」

 

彼女もニュースを聞き困惑しているようだった。

 

「今、行くから待ってて!」

 

もう仕事に意味はない。

 

俺は急いで彼女の家に向かった。

 

彼女は相変わらず泣きじゃくっていたが、怪我はない。

 

俺は彼女を強く抱きしめなだめた。

 

空が赤く光っている。

 

最後なんだと絶望した。

 

後1日ある。後1日ある。

 

頭をフル回転させ、最後の日に備えよう。

 

直ぐに思い付いたのは、結婚式を挙げることだ。

 

生憎、市役所は機能していないので籍を入れることは出来ないが...

 

最後の思い出だから、一生で一番の思い出にしよう。

 

俺は式の準備を始めた。勿論、彼女と一緒に。

 

銀行口座の残高を全て下ろし、指輪を買いに行った。

 

宝石店はもぬけのからだが、ちゃんとお金を置いていった。

 

ドレスも買った。

 

準備が一通り整い、明日挙式をする。

 

「今日はゆっくり休み、明日に備えよう!」

 

地球最後の日

 

相変わらず地球の治安は荒れている。

 

2人だけの結婚式が始まった。

 

指輪の交換をした。

 

彼女のベールをかきあげキスをした。

 

その時、彼女が一言。

 

「やっと一緒になれるね。」

 

俺は死んでいた。

 

今まで俺を想ってくれていた彼女には感謝しかない。

 

そもそも地球に隕石なんか落ちない。

 

俺が繰り返していた長い夢だ。

 

いつか彼女に会えると信じていた。俺の夢だ。

 

彼女は92歳。

 

長いこと迷惑を掛けてしまった。

 

俺と彼女は2人のアパートで彼女の布団の中で息を引き取っていた。

 

この先どうなるか分からない。

 

ただ、今度こそ2人で居させてください。